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宮部みゆき著 「誰か Somebady」

 最初は、サスペンスものかな、と思っていたが、なんと、宮部みゆき風の「ハードボイルド」であった。義父でもある社長の業務命令ともいえる依頼を受け、元社長の運転手の死を探ることになってしまった編集者の姿を追う、あまりハードボイルドっぽくないミステリである。ハードボイルドとしは、物足りないのだが、それはそれとして宮部みゆき風の表現とストーリーテリングが光るなかなかの佳品。たとえば、このシーンなどは印象に残る… 
 浜田はあわてて携帯電話をつかむと、大急ぎで席を立った。あんまり急いだのでテーブルにぶつかり、グラスが揺れた。 「おっと、すみません」  謝りながら、浜田は走って店から出ていく。エッチングガラスのドア越しに、携帯電話を耳に当て、こちらに背を向けている彼の姿が見えた。  私は振り返り、聡美に微笑みかけた。「忙しそうですね」  聡美は私を見ていなかった。話しかけられたことにさえ気づいていないようだった。彼女は浜田を見つめていた。静止画のようだった。楽しい会話の名残りで口元は笑っていたが、それ以外は停まっていた。コンピューターにエラーが出たように。何かが、誰かが、彼女に対して間違った操作をしたように。
 流石です。75点。
 

テーオドール・シュトルム著 「みずうみ」

 1817年生まれ、1888年没のシュトルムの1849年から1862年にかけての作品集。「みずうみ」「ヴェローニカ」「大学時代」の三篇を所収。三篇とも、若き日の恋愛美少女への憧れをわりとみずみずしく描いた作品になっている。ただ、まあ悪い小説ではないが、歴史に残る名作とは言えないので、いずれ忘れ去られる名前なんだろうと思う。ただ、時々この手の作品を読むと心洗われる気がする。65点。

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