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重松清著 「流星ワゴン」

 簡単に言えば、タイムスリップもののファンタジー。こういった作品を読んでいると、一人の父親としてどのように、妻や子供に接していけばいいのか、考えさせられる。勿論、誰も以前に父親になったわけでもなく、初めて父親としての人生を送っている。日々、子供への接し方はこれでいいのか?とは言え自分の生き方をそう変えられるわけでもなく自分なりの父親像を送っているのだが。ただ、作中の橋本さんのように、子供を喜ばそうと不得意な運転に挑戦し取り返しのつかない事故はおこさないようにはしているが、ただ、今後子供たちの成長にどのように対処していけばいいのか、正直私には未知数である。ある意味、「行き当たりばったり」なのだ。家族の幸運を願うばかりである。タイムスリップをして、やり直すわけにはいかないのだから。80点。

堂場瞬一著 「帰郷」

 刑事、鳴沢了シリーズの第5弾。いつもの通りこの作家は、安定している。しっかりとヒットを飛ばしてくれる。あまりホームランはないけど。
 今回は、故郷新潟に父の葬儀でもどった鳴沢が、父の残した唯一の時効いりの未解決殺人事件に部外者ながら追うはめになる。事件を追ううちに、知りえなかった父の姿が浮かび上がり、やがて父との確執はうすれ、鳴沢はようやく父としっかりと向き合えるようになる。
 正直事件としての面白さはさほどないが、鳴沢の人間臭い刑事の姿が回を追うごとに明確になってきてつい読んでしまう。また、読むだろうなあ。75点。

井上靖著 「風林火山」

 井上靖の描く戦国時代。武田信玄、山本勘助そして勝頼の母でもある、由布姫を中心にその時代を描いている。だが、なんとも司馬遼太郎の歴史小説を読みなれているせいか、どうもそのタッチにしっくりこないというか、なんか不満が残る。司馬遼太郎なら、もっと描きこむだろうなんて感じながら読んでしまう。本来それではいけないのだが、まあその辺は素人なので許してほしい。長さも中途半端な感じがしてしまう。その時代に入って行って、さあこれからという時に、もう「川中島の戦い」になってしまった感じ。残念!70点。

ヘルマン・ヘッセ著 「車輪の下」 高橋健二訳

 少年少女名作全集の定番。だが、本当に位置づけでいいのか?正直に言って、決して名作にあらず。あまり他の作品をよんでいないが、へっせの作品の中でも出来のいい作品とは言えないのではないか。
 まず、模範的な優等生ハンスがせっかく合格した神学校で、精神を病んでしまい(今でいうところの鬱病か)故郷に戻って機械工になるのだが、精神を病むきっかけがきわめて曖昧で、納得しがたい。そして、わずかな時間のエンマとの恋(ただ遊ばれるだけ)で、さらに精神的ダメージを受け、そののち仲間と酒を飲んでその帰りに、死を迎える。死の原因は、事故死なのか自殺なのかは不明確。ただ、ハンスにあまり生きる気力がなかったことは確かなよう。
 まあ、ハンスの死に至る内的外的要因が、とにかく不明確で、もうちょっと何とかならないものかと思う。
50点だな。

東野圭吾著 「鳥人計画」

 東野さんの1989年作、10作目にあたる。少し厳しい言い方になるが正直いっていただけない。作中でも焦点となっている「動機」が、どう考えても説得力不足、殺人方法も必然性がなく、最終的に犯人が一人ともいえないのだが、これもまた、「それがどうした」と言った感じで、ストーリーの必然性に欠ける。まあ、駄作かな。50点。

司馬遼太郎著 「人斬り以蔵」

 昭和36年から41年にかけての中短編集でかなり初期のころの作品である。ちなみに「梟の城」で直木賞を受賞したのは、昭和35年である。村田蔵六(大村益次郎)はのちに長編のメインキャラクターとなるが、岡田以蔵、古田織部正などはあまり歴史の表舞台に登場しないキャラをメインに据え、当時の人々、世の中のあり方を活写してみせる。
 それぞれ、まあ面白いが、やはり司馬遼太郎は、長編に本領を発揮する。いまひとつ印象に薄いのは事実だろう。65点。

船戸与一著 「流砂の塔」

 今度の舞台は、なんと新疆ウイグル自治区である。中国の圧政のなかで独立を勝ち取ろうと戦っているのはなんとなく知ってはいる。中国側はテロ組織と断定しているようだが、はたしてそうなのか甚だ疑問附がつくが。
 登場するのは、中国人組織「哥老会」に属する身元不明の日本人、梅津明彦。哥老会とひかいつながりのある羅光雲の右腕、劉定伯。対ベトナム戦の英雄の人民解放軍戦士、林正春。中国共産党国家安全部の蔣国妹、楊克生。それぞれの組織、人間たちの思惑が絡み合い、時代、運命に翻弄されて、ストーリーは展開する。そして、彼らの存在とはなんだったのか?なんと人命の軽いことか。
 今回の作品、今までの中南米、アラブ、アフリカなどの舞台と比べて、日本に近いアジアということもあり、なんか純粋にエンタテイメントとして楽しめないような気がする。あまり気にする必要もないかもしれないが。そんなこともあり、いままでの船戸作品より少し低い評価にしたい。75点。

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